こんにちは!分不相応なジャガー乗り中年Kです、
一般的には「ジャガー」といえば丸目4灯ライトの古い「XJ」を思い浮かべると思います。
今乗っている「XK」は、ジャガーだと思われない(分からない)というケースが非常に多いです。
特に、40代以上の世代にとっては、ジャガー=XJのイメージが強いという方が多いように感じられます。
今回は、ジャガーXKの話題から少し外れて、「ジャガーXJ」をテーマに少し懐かしいクルマたちを考察してみたいと思います。
【参考】ジャガーXKと当時のライバルについて
今回は、大きな猫のお話なのだ。
オープンカーとは関係のないネタです。
1.ジャガーXJの歴史
現在では、SUVやEVをメインに車種を展開しているジャガーですが、かつては「XJ」をメインにした高級サルーンとクーペを展開するメーカーでした。
質実剛健なメルセデスやBMWなどのドイツ勢とは異なる華やか雰囲気を持った、独自のキャラクターのクルマでした。
初代・JAGUAR XJ
初代XJは、1968年から1986年にモデルチェンジするまで、約20年間も製造されていました。途中、マイナーチェンジが実施され、大きく3つのシリーズに分かれています。
セダンとしては低いフォルムのデザインに加え、スポーツカーのE-type譲りのエンジンと足回りを備えるなどスポーティなイメージのサルーンでした。
低く伸びやかなサイドビューや丸目4灯ヘッドライト、尻下がりのロングテールなどのモチーフが、歴代ジャガーXJのアイコンとなりました。
一方で、ウッドとレザーを贅沢にあしらったエレガントなインテリアは、イギリスの高級サルーンらしい華やかで格調高い雰囲気を持っていました。
このようにスポーティとエレガントを両立した高級サルーンのジャガーXJは、世界の富裕層から愛されました。
1975年には、XJをベースにホイールベースを短縮したクーペボディの「XJ-S」が登場しています。
さらに、XJ-Sをベースにして、1990年代にはジャガーXKやアストンマーチンDB7が開発されています。
ジャガーといえば、このXJ!
二代目・JAGUAR XJ(XJ40)
デビューから20年近く経過し旧態依然としていた初代XJは、ライバルに対抗させるために1987年にフルモデルチェンジを実施。
1980年代当時は、生産技術が大きく進歩したおかげでクルマの進化が激しい時代でした。
80年代には、樹脂成型バンパーや異形ヘッドライトの登場、ボディとガラスの凹凸を少なくするフラッシュ・サーフェス化などの技術が発達し、現代車にも通づるような滑らかなイメージのエクステリアになってきました。
XJ40型XJは、象徴的だった丸目4灯のヘッドライトを角形ヘッドライトに変更。ボディパネルも平面的でシンプルなデザインに簡素化されるなど、80年代的なモダナイズが施されました。
ただし、90年代を見据えた新しさがあるかというと疑問で、レトロでもモダンでもない中途半端な印象だったのは否めません。
あくまで個人の感想ですが、当時はやや残念なイメージを持っていました。
実際、XJ40型のビッグ・マイナーチェンジ版であるX300/308型になるとヘッドライトを丸目4灯式に戻すなど初代XJのデザインモチーフを随所に取り入れることで、原点回帰によるイメージアップをはかっています。
イメージ・チェンジは難しいのだ。
2.ジャガーXJインスパイア系
本家・ジャガーXJが迷走していた時期に、異国の地では多くのXJインスパイア系のクルマが誕生していました。
中年Kの独断と偏見で、ジャガーXJインスパイア系の代表的なクルマたちをご紹介します。
NISSAN CIMA(Y32)
まずは、バブル経済の絶頂期に「シーマ現象」という言葉を生んだほどヒットした初代「ニッサン・シーマ」を挙げたいと思います。最近だと、女優の伊藤かずえさんがフルレストアしたことでも話題になったクルマです。
当時は、V6・3リッターターボの強力なパワーや500万円という価格が注目されましたが、このクルマの最大の魅力は、オリジナリティあふれるシンプルで美しいエクステリア・デザインにあると思います。
やや泥臭い印象の当時のニッサン車からは想像できない、プレーンで柔らかいラインで構成されたエクステリア・デザインが印象的。
少なくともエクステリアには、ベースとなったセドリック・グロリアとの共通項はほとんど感じられません。
サイドビューの伸びやかなラインは、初代ジャガーXJをモダナイズさせつつ無駄を削ぎ落としたシンプルな面構成へと昇華させたような印象を与えます。
特にフロントマスクは、奇遇にもXJ40に似たイメージになっていて、この辺りにジャガーの影響を感じさせます。
しかし、インテリアはコストの兼ね合いからか、ベース車のセドリック・グロリアとほとんど変わっていません。
気合の入ったエクステリアとのバランスを考えると「惜しいなぁ!」と思ってしまいます。
今見るとシンプルな美しさがあります。
HONDA ACCORD INSPIRE
お次は、まさに「インスパイア」です。アコードの名前がついていますが、全くの別モノです。
このクルマは、専用の直列5気筒エンジンを新開発し、FFなのに縦置きで搭載するという専用シャシーまで用意したという、なんともバブリーな設計。
このレイアウトは、当時のアウディ100(現在のA6の先祖)と同様のものです。
エンジン縦置きのため、フロントオーバーハングを短くでき、FFなのにFRのようなフォルムを再現したエクステリア・デザインが特徴。
サイドビューから見ると、伸びやかなラインに小さめのキャビンが乗っている姿がジャガーXJのイメージを連想させます。
また、薄いフロントマスクと横長ヘッドライトの組み合わせが、XJ40よりもモダナイズされた新世代ジャガーという印象を受けます。
このクルマは、インテリアにも気合が入っていました。インパネはシンメトリー・デザインで木目パネルをふんだんに使用。確か、天童木工製のパネルだったと記憶しています。
当時のホンダは、イギリス・ローバーと提携していたおかげか?インテリアに品良くウッドをあしらったクルマがありました。(コンチェルトやレジェンドなど)
車格は劣りますが、ある意味シーマよりもジャガーに近づいた存在たっだのかも知れません。
当時のホンダはイケイケだったのだ。
MAZDA SENTIA
バブル期に驚異的な傑作デザインを連発していたマツダのフラッグシップでダンが、この初代「マツダ・センティア」です。当時は、兄弟車に「MS9」という珍車もありました。
この頃のマツダ車らしく、エクステリア・デザインは凝りに凝りまくっています!
ボディラインは、シーマやインスパイアが直線的なラインであるのと異なり、抑揚のあるラインと面の構成をしています。
特に、リアの後端を上下左右になだらかに絞り込んだラインが日本車離れしていてセクシーな感じで、ジャガーXJを進化させたような印象。
ボディラインに比べると、フロントマスクやヘッドライトなどのパーツのデザインが平凡である点が惜しいですが、全体的には攻めたデザインといえるでしょう。
インテリアは、丸く包み込むようなデザインで柔らかい雰囲気があります。しかし、パーツにはプラスチックが多用されていたため、質感・雰囲気ともにジャガーのエレガントさには遠く及びません。
当時のマツダ車の共有の課題で、インテリアのデザインはともかく仕上げ・質感がトヨタやホンダに遅れをとっていたことは否めませんでした。
余談ですが、当時の自動車雑誌で「高級車の広島カーブ」と呼ばれていたのには妙に納得したことを覚えています。
バブル期のマツダデザインは「神」
BMW 750i(E32)
国産車に続いては、メルセデス・Sクラスの永遠のライバルの「BMW・7シリーズ」を挙げたいと思います。
1986年にデビューしたE32型7シリーズが初代XJの影響を少なからず受けているように思われますが、次代のE38型もキープコンセプで似たようなデザインです。
最高級の750iと呼ばれるグレードには、ジャガーに対抗するかのようなV12エンジンを積んでいました。
このクルマのエクステリアの特徴は、直線基調で伸びやかなサイドビューにあると思います。ジャガーXJほどではないですが、低くスマートなフォルムのスポーティ・サルーンです。
個人的に、この頃のBMWのデザインは、シンプルかつスマートなラインで嫌味がなくて好感が持てます。
エクステリアに比べると、インテリアは地味というかビジネスライクな印象のデザインになっています。
ジャガーに比べてしまうと質実剛健な印象ではありますが、メルセデス・Sクラスよりは格段にスマートでスポーティなデザインでした。
ジャガーは、やや高い年齢層をターゲットにしているように思いますが、BMWは若々しく都会的なユーザーをターゲットにしているように思います。
ビーエムはスマートなのだ。
MERCEDES BENZ CLS(W219)
少し時代が進み2005年にデビューした、Eクラスベースの背が低いクーペ・スタイルが特徴の高級サルーン「メルセデスベンツ・CLS」を最後に挙げたいと思います。
このCLSは、メルセデスとしては低く伸びやかなフォルムをしています。特に尻下がりなリアのデザインが、ジャガーXJをインスパイアしていると想像させます。
一昔前のドイツ車では考えられないスペース効率の悪いパッケージングですが、「こういう時代になったんだなぁ〜」とデビュー当時に思ったものです。
インテリアも当時のメルセデスからすると華やかな仕立てになっています。
余談ですが、最近のメルセデスのインテリアに金属パーツの加飾が多用されてギラギラしています。メルセデスも随分と華やかになったと感じます。
本家・ジャガーXJが最新のX351型では、往年のエレガントさからかけ離れたデザインに変化してしまいましたが、メルセデスから「後継モデル」的なクルマが出たことが不思議な感覚です。
ニッチなイロモノ路線と思われていたCLSも3代目まで続いているので、こうしたニーズは根強くあるのだと実感できます。
低いセダンのニーズを証明しています。
3.おわりに
ジャガーXJは、2010年にデビューした現行X351型XJでは、往年のイメージは無くなってしまいました。
一方では、前述の「メルセデス・CLS」をはじめ、「BMW・8グランクーペ」「ポルシェ・パナメーラ」といった低いフォルムの高級スポーティ・サルーンは健在です。
さらに、EVになりますが「ポルシェ・タイカン」「アウディ・Eトロン」などもデザイン的には同ジャンルです。
もし、ジャガーXJが初代からのコンセプトを上手くモダナイズしていた世界線があるとしたら、一体どんなデザインになっていたのでしょうか?
SUVが主流になった現在のジャガーを見ると、少し残念な気持ちになります。
個人の感想です。
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