こんにちは!クルマ好きおじさんの中年Kです。
今回は2025年4月11日〜13日に千葉・幕張メッセで開催された旧車イベント「オートモーティブ・カウンシル2025」に訪問してきたので、そのレポートをしたいと思います。
今回の目玉は、カーデザイン界の巨匠・ジョルジオット・ジウジアーロ氏が来日し、なんと会場でトークショーが開催されます。
これは見るしかない!ということで行ってきました。

なんかスゴい人が来るらしいのだ

旧車イベントは久しぶりです!
1.大人の旧車イベント
早速、オートモービル・カウンシルの当日の様子についてレポートしていきます!
オートモービル・カウンシルとは?
オートモービル・カウンシル(Automobile Council)は今回で10周年を迎えた旧車にフィーチャーしたクルマ関連のイベントです。
主催は「AUTOMOBILE COUNCIL 2025 実行委員会」となっていますが、特別後援として「カーブラフィック」の名前がクレジットされています。

クルマ系のイベントというと何となくやんちゃな感じやマニアックな雰囲気があったりするなど、一般の人が敬遠しがちなイメージを勝手に抱いていました。 ※個人の感想です
オートモービルカウンシルは全体的に落ち着い雰囲気のイベントでした。
ブースには派手な装飾も爆音BGMもなければ、キャンギャルもいません。

じっくりと貴重な旧車たちと向き合う、そんな大人のイベントという感じがして何となく「カーグラらしい」イベントだと思いました。
展示車両については、また別の機会にまとめて紹介したいと思います。

落ち着いて見学できるのだ

静かな熱気を感じました。
2.巨匠・ジウジアーロのトークショー
ホールの中程に特設ステージがあり、そこがトークショーの会場のようです。
早速、特設ステージに向かいますが、すでにステージの周りには黒山の人だかりができていました!

ぶっちゃけ「ジウジアーロってそんなに人気があったの?」と驚きました。
カーデザインなんて、ごく限られたマニア向けのマイナーな世界だと思っていたので意外でした。

早くも会場の熱気がすごいのだ
ジウジアーロ登場!
10:30からイベント開始となり御大が登場!サングラスがカッコいい!

今年で86歳とのことなのでイケおじならぬイケじいですかね?

サングラスを外して司会者の紹介を待つ姿は、お馴染みの腕組みポーズ!


やはりスーパースターですね!
ジウジアーロの歴史
いよいよトーク開始。ところが、声はかなりしわがれた感じで少し苦しそうに(感じられた)喋ります。そんな声でしたが一生懸命に長時間お話ししてくれました!
盛りだくさんのトークの中から印象に残ったものを少しだけご紹介します。

最初の質問で、これまでの経歴についてお話をしていました。
元々は、フィアットに勤められていたそうで、そこでクルマの構造やクルマ造りについて学んだとのこと。ジウジアーロ作品に共通する「機能美」「リアリティ」というのはこのバックボーンがあるからこそなんだと納得。
その後、イタリアのカロッツェリアのベルトーネに在籍します。
ベルトーネではレンダリング(デザインスケッチ)に自筆サインが可能だったそうです。一般的な企業ではレンダリングのサインは消されるのが慣例とのこと。あるクルマのレンダリングが注目され、そこにジウジアーロのサインがあったため有名になれたとのお話し。
ちなみに、マツダのブースにはベルトーネ時代のジウジアーロ作品の「マツダ・S8P」というショーモデルが展示されていました。

有名になったおかげで自信を持つことができ、自身のカロツェリア「イタルデザイン」を興し独立を果たします。
独立後は、苦労をしますが共同経営者であった宮川氏の協力もあり、日本メーカーとの繋がりができて仕事が安定したといいます。
あるとき、メーカーから相談が来て「ショーモデルから実際に量産化するのにどうしたら良いのか?」ということがあり、これがきっかけになりショーモデルだけでなく量産の支援を行うようになったとのことでした。
1品製作のショーモデルは、リアリティがなくてもコストを掛ければ強引に形作ることができます。
しかし、量産となるとコストや安全性、使い勝手など様々な制約があります。ショーモデルから量産まで一貫した提案をできることが強みになるとそのとき思ったそうです。
最後にVWグループとの提携時のエピソードです。
イタルデザインは、2010年にVWグループの傘下に入ります。資本提携(買収)にあたってジウジアーロ氏は一社と組んでしまうと他社との仕事ができなくなるという不安があったそうです。
その交渉時に「VWグループにはベントレー、ランボルギーニ、アウディ、ポルシェもあるのに他に何がやりたいんだい?」と言われて納得したとのことでした。

中村史郎とのデザインが結んだ絆
ゲストとして、いすゞ出身でニッサンのデザイン本部長、チーフクリエイティブオフィサーを歴任された中村史郎氏も来ていました。
後半は、中村氏が質問する形でトークショーを仕切っていました。その話から抜粋してご紹介します。
中村氏が17歳の時に買ったカーデザイン本を持ってきて紹介をしていました。
そこには、若き日のジウジアーロとスケッチが載っていました。、それを見た若き日の中村少年はカーデザイナーに憧れたそうです。
この話を受けて、ジウジアーロ氏は「こんな本があるのは知らなかった」とのことで、遠い極東の島国でも自分が知られていたことに驚いていました。
中村氏からその本を渡され、スケッチの写真を見たジウジアーロ氏曰く「この写真のスケッチは自分をベルトーネに売り込む時に描いたもの」とのことでいたく感激していました。
そんな中村氏もその後にいすゞ自動車に入社し、1983年にジウジアーロ氏のデザイン案についてフィードバックするためにイタルデザインに訪問(時期的にFFジェミニか?)したそうです。
その時にジウジアーロ氏からもらったネクタイを大事に持っていました。

デザインは国境と時代を超えます
3.ジウジアーロ作品をざっくり解説
会場には特別展示のひとつとして、ジウジアーロ作品の特設コーナがありました。
今回は10台のジウジアーロ作品が展示されていました。その中から中年Kセレクションとして、4台について勝手に解説していきます。
VW・ゴルフ(1974)

まずは、初代ゴルフから。言わずと知れたFFハッチバックの金字塔。
70年代らしい直線基調で、シンプルかつクリーンな面構成をしていますが、なんとなくスポーティな佇まいの爽やかなデザインです。
FFの特性を活かして、小さなボディでも大人4人が乗れて、荷物もきちんと積めるという高い実用性も備えていました。
これのパクリ・・・いやオマージュとして1980年にFFファミリアが発売され大ヒットしました。
いすゞ・ピアッツァ(1981)

「いすゞ・117クーペ」から続くジウジアーロがデザインしたラグジュアリー・クーペとして1981年に登場しました。
今回の展示車は発売前に先行して1979年に公開されたショーモデルの「いすゞ・アッソ」です。
その原型となった「アッソ・デ・フィオーリ」から量産型のピアッツァまでイメージがほとんど変わらない奇跡のデザインです。
量産型との大きな違いはドアハンドルです。

量産型では、一般的というかつまらないデザインのフラップ形状になっています。
ピアッツァは、クーペとはいってもリアはハッチバック形状です。室内も意外に広くてリアシートにも大人が座ることができました。
改めて見比べてみると同時期のデロリアンとも共通するフォルムをしていることが分かります。

中年Kが初めて買ったクルマでした!
フィアット・パンダ(1980)

1980年に登場したイタリアの下駄車ともいうべく大衆車です。
展示車は、左右非対称デザインのフロントグリルなので最初期モデルでした。
チープ・シックの極地とも言えるシンプルで合理的なデザインが魅力のコンパクトカー。ボディパネルだけでなくガラスまで平面ですが、無骨さを感じさせない巧みなデザインです。
内装もシンプルかつ独創的なもので、ハンモック形状のシートや全体が収納ケースのようなダッシュボードなどが記憶に残っています。
DMC・デロリアン(1981)

バック・トゥー・ザ・フューチャーのタイムマシンとして有名すぎるクルマです。
ガルウィング・ドアや無塗装のステンレスボディなどエキセントリックな部分もありますが、フォルム自体はシンプルな造形になっています。
正面から見るとショルダー部分が折れ曲がる六角ボディのクリーンな面構成をしており、同時代のロータス・エスプリやピアッツァとの類似性を強く感じます。
ごく一部ではありますが、ジウジアーロ作品について見てみました。
コンパクト実用車からスーパーカーまで守備範囲の広さに改めて驚かされます。しかし、車格や時代を超えた一貫した機能美がジウジアーロ・デザインの真骨頂だと思います。
今回はジウジアーロ来日記念としてジウジアーロ三昧のレポートをお届けしました。
次回は、オートモービル・カウンシルのその他の展示車についてもレポートしたいと思います。
